雑感

四代目三遊亭円遊

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夜、いつも落語のCDかテープを聴きながら寝る。知らぬ間に寝入ってしまうのは、演者が上手だからである。リラックスできるからだろう。下手くその噺家ではだめである。イライラして、かえって寝られなくなる。
落語でも、人情話は具合が悪い。講談はもっといけない。緊張感がつよいからだろう。

いちばん心が安らぐのは、四代目三遊亭円遊の噺である。
四代目円遊は、一時期、落語界を離れて、幇間(ほうかん)になったこともあり、人情話などはまったくやらなかったから、落語愛好家からの評価は低いままだった。本格ではないというのだろう。持ちネタもそれほど多くはなかった。「お見立て」のように、古典を妙に改作した噺を演じたりしたことも、評価を下げた理由かもしれない。もっとも、「お見立て」などを改作したのは、五代目柳亭燕路で、円遊は燕路に稽古をつけてもらったので、これらの噺を演ずるようになったらしい。

円遊は、しかし、一時期TBSの専属として、正蔵、文楽、円生、小さんと並んで、「落語名人会」の常連だったから、それなりに認められてはいた。一席終わった後、松永アナウンサー(?)の質問に答えて、いろいろの裏話を披露してくれたことは、いまなお忘れがたい。

円遊の噺の軽み、粋(いき)なところ、その洒脱さは、おそらく誰も真似できないだろう。ひょっとすると、唯一無二の存在であったように思うのだが、賛成してくれる人がどれだけいるのやら。

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