雑感

見え方の違い

投稿日:2025年3月3日 更新日:

私の最寄り駅は、小田急線の豪徳寺駅なのだが、いまホーム上で、ホームドアの設置工事が進められている。しばらく前に、ドアの収納部にあたる部分が設置されたのだが、開閉するドアの部分はまだ取り付けられていない。それゆえ、ホームの線路際にホームドアの壁は出来たものの、乗車口のところだけは、ぽっかりと開(あ)いたままになっている。

ホームには、警備員が数人配置されている。なぜ警備員が必要なのか、最初はその理由が判然としなかったが、すぐに、なるほどと納得された。

ぽっかりと開いた乗車口の前に立つと、線路に転落しそうな危うい感じを覚える。設置工事が始まる前のホームは、乗車口の前に立っても、そんな感じを覚えたことはないから、これは見え方の違いによるのだと気づいた。

何もないホームの頃は、乗車口の前に立つと、広い視野が得られた。下に延びる線路も端まで見通せるし、向かいのホームの様子もすべて目に入る。一方、乗車口のところだけが開(あ)いたままの今のホームでは、左右の壁に遮られて、視野は目の前のごく狭い範囲に限定される。ホームの高さが意識され、線路に転落しそうな危うさを覚える。まったく同じ場所ではあっても、見え方の違いによって、これほど異なる感覚が生まれることがわかって、驚いたような次第である。だからこそ、小田急も、不測の事態が起こるのを恐れて、警備員を配置しているのだろう。

同じ対象に向き合ってはいても、視野の広狭によってその世界が違って見えてしまうということ、これはあらゆるところに起こりうる現象なのかもしれない。

-雑感

Copyright© 多田一臣のブログ , 2025 AllRights Reserved.