雑感

鋏(はさみ)なしで、紙を切る

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紙を渡され、切り取り線のところを、鋏(はさみ)なしで切れ、と言われたらどうするだろう。
まずは、切り取り線のところで紙を折り、爪を利用するなどして、しっかりと折り目を付け、それに沿って、手で切り離す。これがふつうだろう。

ところが、ある時、驚いたことがある。大学の新入生20名ほどに、教室で、必要事項を連絡用紙に記入させ、そこを切り取って提出するよう求めたことがあった。すると、数名の学生が、切り取り線のところから、いきなり紙を破り始めた。折り目などまったく付けずにである。

慌てて聞いてみたら、鋏を使わずに、紙を切ったことなど、一度もないという。
新入生だから、みな十八歳以上。それなりの生活体験を経ているはずである。それゆえ、その返答は、にわかには信じられなかった。だが、一人ではなく数名である。ひょっとすると、それがいまの常態なのかもしれない。

このことを、いまの学生のひ弱さと結びつけるのは、いささか乱暴かもしれない。だが、少し考えれば、何かしらの工夫が浮かびそうなものである。これも、万事を受身のままに育てられてきたことの現れなのかもしれない。
ある時と書いたが、ほんの数年前の出来事である。

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