雑感

こむら返りの治療法

投稿日:

夜、寝ていて、突然、足がつる、つまり、こむら返りを起こすことがある。それを即座に直す治療法があることを、塩村耕(しおむら・こう)氏の『江戸の教養 生きた、見た、書いた』(水曜社)で知った。

岩瀬文庫(愛知県西尾市)に所蔵される『徳本上人勧誡聞書(とくほんしょうにんかんかいききがき)』に見える治療法という。塩村氏の本から、そのまま引用する。

男でも女でも、こぶら返り(こむら返り)という事をするものじゃが、その時に男なら、きん(睾丸)を下から上へなで上げるとたちまち直る。女は乳を下から上へなで上げると直るなり。

男は睾丸、女は乳房を下から上になで上げると、こむら返りは即座に直るという。塩村氏は、自身もこの方法で、百発百中で直ったと書いているが、私もその通り、これで直った。
塩村氏のこの本は、「中日新聞」の連載記事をまとめたものだが、当該記事を読んだ女性読者から、「女にも効きました」という報告があったことが、最後に紹介されている。家内もこの方法を試したことがあるのだが、やはり即座に直った。

いったい、どういう原理がはたらくのか、医学的な説明が可能なのかどうか、そのあたりはまったくわからない。とはいえ、実効があるのは確かだから、なるほどこれは、近世の有用な智恵というべきだろう。

塩村氏は、先年、岩瀬文庫の悉皆(しっかい)調査を、ほぼ独力で成し遂げた。その調査は、書誌データの記録にとどまらず、膨大な蔵書の大半を読破したというのだから、これには驚かされる。右の『徳本上人勧誡聞書』は、その調査の過程で、出会った本という。

徳本上人は、浄土宗の高僧で、各地を行脚(あんぎゃ)し、その教えを平易に説いたことで知られる。

-雑感

Copyright© 多田一臣のブログ , 2025 AllRights Reserved.