雑感

インスタント・コーヒー

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十年ぶりくらいにインスタント・コーヒーを飲んだ。味がびっくりするほどよくなっていて、レギュラー・コーヒーとの差が、大きく縮まっているように感じた。これも一つの進化なのだろう。

初めて中国を訪れたのは、四半世紀以上も前のことになる。北京に一週間ほど滞在することになったのだが、その時注意されたのは、向こうではコーヒーは飲めない。ホテルで頼んでも、出て来るのはどこもインスタント・コーヒーばかりだから、日本からインスタント・コーヒーを持参するのがよい、ということだった。なるほどその通りで、どこでも飲めるのは中国茶ばかり、中国はやはりお茶の国なのだと、あらためて思った。

中国の高度経済成長が進展するのはそれからで、 2008年の北京オリンピックが、その成長の一つの節目でもあっただろう。オリンピック前後で、北京の街の様子は大きく変わった。古い木造の家屋が密集していたあたりもすっかり取り壊され、近代的な町並みに変貌していて、驚いたこともある。オリンピックが経済成長の節目になったのは、1964年の東京オリンピックも同様だろう。
そのあたりからであろうか。レギュラー・コーヒーも、北京市内の(だけでなく中国の)どこでもふつうに飲めるようになった。

その後の中国の経済成長はさらに著しい。かつては日本の援助がさまざまな分野に及んでいて、日本との国力の差は大きく実感されたものだったが、いまや完全に逆転してしまった。経済面のみならず、科学技術などさまざまな面で、日本は中国の後塵を大きく拝するようになった。AI技術など、中国は日本の遥か先を進んでいる。ここ十数年の日本の沈滞はひどいものである。
中国共産党の一党独裁支配による政治的な弾圧、チベットや新疆ウイグル地区などへの不当な支配、都市と農村の格差、少子高齢化といった問題はいまだに大きく残っているはずだが、それらをすべて覆い隠すほどに、中国の影響力は国際的にも、日本を大きく凌ぐようになった

先週の英字学習新聞“the japan times alpha”を見ていたら、その中国の影響力が、文化面においても、世界中に大きく及びつつあることが紹介されていた。しかもそれは、中国政府の主導によるのではなく、Tiktokなどの、ネット上の流行を通じてもたらされたものという。記事には、“The Tiktok trend is the latest example of how Chinese products and consumables are enjoying a cultural cachet they've never had before globally.”などとある。
要は中国のsoft power(外国への文化的影響力)が世界を席巻しつつあるということにほかならない。

少し前なら、この中国の位置に日本があった。しかし、いまや過去の夢物語に過ぎない。そもそも、TiktokのようなSNSでさえ、日本は生み出せずにいるではないか。
インスタント・コーヒーを飲みつつ、こんなことを思った。

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