日曜日の夜は、いつもTV朝日の「ナニコレ珍百景」を見ている。ほぼ一年前のことになるが、1月22日の放送で、川口市にある川口工業高校掃除部(そうじぶ)の話題が取り上げられていた。掃除部という部があることにも驚いたが、部員も30人ほどいるという。校内のみならず、近隣地域の清掃活動も行っているという。
さらに驚いたのは、そうした高校生の清掃活動の全国大会があることで、それは「スポGOMI甲子園」と呼ばれているのだという。ゴミ拾いを競うところから、この名称があるらしい。川口工業高校掃除部は、昨年12月に開催された競技会で、全国制覇を達成したという。番組では、競技の様子、――つまりはゴミ拾いの様子なのだが、その光景も紹介されていた。
この「スポGOMI」に世界大会があることを、(例によって)学習用英字新聞“the japan times alpha”の最新号の記事で知った。邦題の見出しには、「世界初、「ごみ拾いワールドカップ」開催」とあり、世界各地から22のチームが参加したという。念のためだが、これは、高校生の競技会ではない。11月22日、渋谷を舞台に、世界各地の予選を勝ち抜いたチームが、ゴミ拾いを競いあったという。制限時間内に拾い集めたゴミを、量のみならず、種類に応じて分別するところまでが、評価の対象となる。ゴミ集めに45分、分別に20分が、朝夕、各セッションごとの割り当て時間になる。優勝したイギリスチームは、全部で57㎏のゴミを集めたという。
この記事で、「スポGOMI」の歴史を初めて知った。こうした競技会は、15年ほど前に、馬見塚健一(まみつか・けんいち)氏が始めたという。馬見塚氏は、それ以前からも、個人的に、朝のランニングの傍ら、ゴミ拾いを行ってきたが、これを競技として行うことで、ゴミ拾いの意味を広く知ってもらう契機にしたいと考えたらしい。その現れが、先の「スポGOMI甲子園」であり、さらには、それが、今回の世界大会に結実したということらしい。
記事は、海外の参加者の声も紹介している。こうした競技会が、地球規模で拡大する、環境汚染に対する、人々の意識を呼び覚ます契機になることへの期待の思いが、そこからうかがえる。南アフリカの参加者からは、こうした競技会が、学校で行われるようになれば、ゴミ問題に対する関心を、若い世代の人々が早くから持つようになるだろう、との趣旨の発言もあった。なるほど、「スポGOMI甲子園」は、その趣旨に沿うような場といえる。馬見塚氏もまた、若いうちにゴミ問題に対する関心を持てば、年を取ってからも、環境問題への関心を持ち続ける結果を生み、さらにはその関心を次世代にも受け継いでいくことになるはずだと述べている(以上の発言内容は、私が敷衍したところもある)。
思いがけず、「ナニコレ珍百景」で紹介された「スポGOMI甲子園」の意義を、“alpaha”の記事で知ることができた。高校に、掃除部という部がある理由も、これで理解することができた。