雑感

漢方薬の怖さ

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重度の肺炎に罹(かか)り、文字どおりの死の淵から何とか遁れて、やっと退院することができた。だが、なぜ肺炎に罹ったのか。先のブログにも記したように、ツムラの漢方薬が主たる原因らしい。

私自身は、不眠症から自律神経失調症になったと思い込んでいた。睡眠外来のクリニックでも、医者は私の説明に納得したのか、自律神経失調症に適合する薬として、ツムラの柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を処方してくれた。その後、微熱や心悸亢進等の症状が現れたが、これも自律神経失調症に見られる症状だから、それが肺炎に起因するなどとは、考えもしなかった。救急搬送される前日、フラフラしながら、川崎のカルチャーセンターの講義に出向いたのも、私自身が自律神経失調症だと思い込んでいたからである。

医者の必携ともいうべき『今日の治療薬』という手引書がある。その柴胡加竜骨牡蠣湯の箇所を見ると、副作用の冒頭に、赤字で「重大」の注記を加えた上で、「間質性肺炎」を掲げている。私が入院した病院(東京医療センター)の薬剤師によれば、その病院でも、私と同様の例は、さほどめずらしくはないという。さらに、柴胡加竜骨牡蠣湯のみならず、柴胡を成分とする漢方薬には、みなその危険性があるという。なるほど、『今日の治療薬』を見ると、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)の副作用のところに、やはり「間質性肺炎」を掲げている。

ところが、睡眠外来のクリニックの処方箋で、柴胡加竜骨牡蠣湯を出してくれた調剤薬局の説明書には、「息切れ、咳、発熱、体がだるい、吐き気、白目や皮膚が黄色くなる等の症状が現れた時は、すぐにお知らせください」とあるのみで、「間質性肺炎」の危険性については、どこにも記されていない。「息切れ、発熱」は、自律神経失調症の症状でもあるから、この説明書の注記では、何の意味もなさない。

もっとも、先の薬剤師の話では、私の肺炎の原因が柴胡加竜骨牡蠣湯であると明確に証明するのは、実のところかなり難しいらしい。それゆえ、その可能性が大きいというところまでしかいえないという。命の瀬戸際までいった身からすれば、これはずいぶんと歯痒い。

これまで、漢方薬は、比較的安全なものだと信じ込んでいた。だから、今回も躊躇(ためら)わず飲み続けていた。それが仇になったというしかない。漢方薬の危険性を、改めて知ったような次第である。皆さまも、御用心、御用心。

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