研究

『古事記私解Ⅰ』・訂正

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以前、このブログで、私の『万葉樵話』(筑摩書房)の記述の誤りについての訂正をした。今回は、それにならって、『古事記私解Ⅰ』(花鳥社)の誤りを、訂正しておく。

「八俣大蛇の退治譚(一)」で、ヤマタノヲロチの名への不審を述べたところがある。そこに「「身一つに八頭(やかしら)・八尾(やを)あり」では、マタは七つしかないから、ここには矛盾がある」(110頁)と述べた。脚のマタ(股)を意識して、そのように記したのだが、刊行後、ここを読んだ何人かの知人から、この説明はおかしいという指摘を受けた。「二股に分かれた道」のような言い方があるから、「八頭」「八尾」をヤマタと称して問題はないはずだ、というのである。なるほどその通りで、これを「矛盾」としたのは、あきらかな誤りであったことになる。
それゆえ、ここでは、「矛盾がある」の後に、「もっとも、「二股に分かれた道」のような言い方もあるから、矛盾は言い過ぎかもしれない」という一文を加えたいと思う。訂正としては不徹底だが、これでご勘弁いただきたい。不徹底であるのは、手の指のマタ(股)の場合も、四つと数えるのではないかと思うからである。もっとも、負け惜しみの言には違いない。

『古事記私解ⅠⅡ』は、早々売れる本ではないから、再版もいつになるのかわからない。むしろ初版かぎりで終わりになる可能性の方が高い。それゆえ、ここで訂正しておく。

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