雑感

餃子消費額日本一

投稿日:2023年2月21日 更新日:

先日、テレビで、2022年の一世帯あたりの餃子消費額日本一が、宮崎市になったというニュースを目にした。二番目が宇都宮市、三番目が浜松市であるという。この時期になると、毎年のように報道されるが、実に愚劣である。
総務省が発表する前年の家計調査の結果だというが、こんなものに意味があるとは思えない。その理由は簡単で、この家計調査は、スーパーの総菜など、持ち帰りの焼きギョーザや生ギョーザへの支出のみを集計したもので、外食の支出はそこに一切含まれていないからである。外食の支出を含まずに消費額日本一を決めても、餃子消費の実態からは、大きく乖離している。愚劣だと述べた理由はそこにある。

さらに、この調査には、観光客などの支出はまったく含まれていない。家計調査の範囲を逸脱するからでもあるが、ならばその結果に、「わが町こそが日本一の餃子の町だ」といって、宮崎市以下が一喜一憂するというのは、やはりおかしい。

ここで、餃子について、あらためて述べておけば、私の場合、餃子は好物ではあるが、外食することは、あまりない。その理由は、大蒜(ニンニク)の入った餃子が厭だからである。
家で作る場合も、大蒜やニラは入れない。しかも、家の餃子は、水餃子である。

水餃子は、これは外食になるが、新宿の「随園別館」のものが、私にとっての一つの基準になる。ポテッとした小ぶりの餃子である。冷凍にしたものを、お土産にもしてくれる。「随園別館」については、以前のブログ「北京ダック」でも紹介した。
立川にその支店があるが、以前、そこでお土産の餃子を買ったら、まったくの不味で、驚いたことがある。どうして、これほど味が違うのか、いまだに謎である。もっとも、「銀座天龍」の餃子と、池袋の東武デパート内の支店の餃子でも、味は微妙に違うから、こうした現象はよくあることなのかもしれない。

私がもっとも愛好する餃子は、京王線八幡山駅近くの「くるみ屋」のものである。ここは、店頭販売しかしない。焼き餃子である。雑誌「HANAKO」の餃子特集号(1993年9月)で、この店を知った。もう30年も前のことになる。それ以来ずっと、ここの餃子を買い続けている。
ここの餃子は、もともとは「包香子(ほうこおず)」と呼ばれており、丸く包んだ皮の中に、野菜がたっぷりと、香るくらい入っているので、そう名づけたと、「HANAKO」の記事にはあった。まことにその通りの餃子である。タレも、酢と醤油に一味唐辛子を加えたもので、それもやや風変わりである。生のままで買って来て、家で焼いて食べる。

中国には何度か行ったが、意識して餃子を食べたのは、一度しかない。瀋陽(しんよう)の大学でシンポジウムの講師を勤めた際、懇親会で連れて行かれたのが「老辺餃子館(ろうべんぎょうざかん)」だった。それで、ここが、新宿の同名の店の本家本元であることを知って、驚いたことがある。何種類かの餃子を食べたはずだが、その味の記憶がまったくない。

そういえば、コロナ禍の中、神田神保町の「スヰートポーヅ」が店を閉じたという。日本の餃子の草分けのような店で、皮の両端を開けたままで焼いた、生薑(しょうが)の味の効(き)いた、実に不思議な餃子だった。二松学舎にお世話になっていた折、昼に抜け出して、何度か食べに行ったりもした。店名にもなっている天津包子(てんしん・ぽーづ)は、ついに食べる機会を失ってしまった。残念なことである。

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