雑感

今日は節分

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本日2月3日は、節分である。明日が立春になる。ただし、今年はやたらと寒い。
立春は、一年を太陽の運行によって区分する二十四節気の一つだが、これを表示した手帳やカレンダーはほとんど見かけない。きちんと表示しているのは、吉川弘文館の「歴史手帳」くらいであろうか。居間に掛けたカレンダーにも、節分、立春は記されていない。

それにもかかわらず、六曜(ろくよう)だけは、御丁寧に、どの手帳、カレンダーにも表示されている。大安、仏滅、先負……が六曜だが、おそらく冠婚葬祭の日取りを選ぶ際に必要とされるのだろう。「歴史手帳」にも記されている。だが、こんなものが意味をもつようになったのは、どう見ても江戸時代以降である。友引には火葬場は休業にするという慣行は、いまも残されているのだろうか。仏滅に結婚式を挙げると、料金が割引になると、耳にしたこともある。
「おさん(収)」「さだん(定)」「あやぶ(危)」とか、「三隣亡(さんりんぼう)」「不成就日」とかいった、いわゆる選日(せんじつ)の吉凶表示は、子どもの頃に見た暦には記されていたように思うが、いまはまず見ない。「おさん」とは何だろうと、不思議に思ったものである。

古典を学ぶ立場からすると、選日はもとより、六曜などはまったく不要である。手帳やカレンダーには、むしろ二十四節気を表示すべきである。小野寛先生から毎年頂戴する「萬葉暦(まんようカレンダー)」と題されたカレンダーには、二十四節気はもとより、旧暦の日付、さらには月の形が表示されている。六曜の表示はない。それこそが見識であろう。古典を学ぶ人間にとっては、実に有り難いカレンダーである。本日2月3日は、「旧暦1月13日、節分」とある。そろそろ満月に近い月の姿も描かれている。

節分の日は、わが家では豆まきをする。「節分」という狂言がある。私は、大昔、狂言を習っていたから、それに従って、豆まきをする。「節分」は、蓬莱からやって来た鬼を、女が色仕掛けで騙(だま)して、持っていた宝物を奪い取り、豆をまいて鬼を追い払う、という筋立ての狂言である。蓬莱(異世界)からやって来て、人間世界に祝福をもたらすのが、鬼本来の役割であったことが、そこからうかがえる。

「節分」には、謡が何曲か含まれるが、節回しが複雑で、なかなか難しい。私は、鬼の「次第」「道行」のところを謡い、その後、女の最後の科白(せりふ)「ようよう豆を囃す時分でござる。豆を囃そうと思いまする」と言い立ててから、「福は内へ」「鬼は外へ」と、三度ずつ唱えて、豆をまく。「福は内」「鬼は外」ではなく、「福は内へ」のように、「へ」を入れる。もっとも、「狂言」を下敷きにはしているが、まったくの自己流の豆まきである。

ただし、これを大声でやると、家内が恥ずかしいからといって制止する。そういえば、近所からは、豆まきの声はまったく聞こえない。どこの家も、最近は豆まきをしないのだろうか。

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