雑感

下手くそ棒

投稿日:2022年3月5日 更新日:

運転免許を取ったのは昭和52年だから、運転歴は45年になる。車を持っていない時期もあったから、実際にはそこまで長くはない。
昨今、高齢者の操作ミスがしばしば問題になっているから、運転できるのもあと数年かもしれない。

昔に較べて、いまの車の操縦性能は格段に上がった。安全面への配慮もずいぶんと行き届いている。だが、かなり前から、わからないことが二つほどあるので、それについて書いてみたい。

一つは、サイド・ミラーの取り付け位置である。昔は、フェンダー・ミラーといって、前輪の上あたり(フェンダー部分)にあった。いまは、タクシーを除いては、ほぼドアの横に装着されている。わからないのは、その装着理由である。視認性の点からいえば、フェンダー・ミラーの方が断然すぐれている。首を横に大きく曲げなければ見えないようなドアの位置に、なぜミラーを装着する必要があるのか。私には、その利点がまったくわからない。タクシーがフェンダー・ミラーをずっと用いているのは、運転がしやすいからであろう。当たり前の話である。もし、デザイン性以外に、ドア・ミラーを採用すべき理由があるのなら、ぜひ教えてほしいと思う。事故で人にぶつかった際、相手への危害を少なくするためだと聞いた覚えもあるが、さして意味のある説明とは思えない。そうした危惧があるなら、一定以上の衝撃で外れるようにすればよいだけのことである。ドア・ミラーの方が、デザイン的にすぐれているかどうかも、実のところかなり疑わしい。

もう一つは、コーナー・ポールである。いまは、これを装着した車をあまり見ない。その理由がわからない。ボンネットの先端、左のコーナーのあたりに取り付けるポールである。ボンネットの先端は、運転席から見えないことが多く、狭い場所で、車を回転させる際など、左の先端をぶつけやすい。コーナー・ポールは、それを防ぐために取り付ける。
私の家は、狭い袋小路の奥にあり、縦列駐車で車を置く必要がある。悪いことに、袋小路の片側はコンクリートの塀で、そこを後退しながら、車を大きく回転させて駐車しなければならない。車の左先端とコンクリートの塀とは、ほぼ接するような間隔になってしまう。それゆえ、コーナー・ポールは、私にとって必備である。いまの車も、オプションで取り付けてもらった。
コーナー・ポールのことを、「下手くそ棒」と呼ぶらしい。運転が下手なので取り付ける棒だというのだろう。こんな棒などみっともない(ダサい!)というのが、いまの通り相場のようである。
「下手くそ棒」とは、いかにも愚劣な呼び名である。街中で、左先端の側面に擦り傷のある車を、時折見かける。コーナー・ポールを付けないからだろう。
コーナー・ポールがあると、デザイン性が劣るのかどうか、これもかなり疑わしい。そんな美意識など、時代とともに変わる、ごくごくいい加減なものに過ぎないからである。

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